2012年6月8日金曜日

ACE ROCKER!

クロマニヨンズのホールライブを
渋谷公会堂、ハーモニーホール座間、
さいたま市民会館おおみや
と短い間に三回、観た。

毎年、彼らはスタンディングのホール
いわゆる「会館」的な椅子のついたホール
そして200人から300人規模のライブハウスを
ごちゃまぜにしてツアーをしている。

クロマニヨンズのパブリックイメージは
「スタンディングで大暴れ」であって
「会館」でちんまり観ている場合じゃない、
というのが、大方の意見だろう。
当然、ぼくもそう思っていた。
去年までは「気持のメイン」はAXだった。
しかし今年は違った。
渋谷公会堂のライブがとてもよかった。

渋谷公会堂は出音が悪いので
そんなにいい印象は受けない。
ロックの聖地とされながらも
昔からPAは苦労している。
しかも二階の前方で「聴く」のは
なかなか大変だ。

音も悪いし、客席の熱もつくりにくいし
あまりいいことはない。
ところが今年の渋公ライブは
その悪条件をパフォーマンスが遥かに
上回っていた。

アンコールふくめ90分間に濃縮された
ロックンロールの塊はより強固にロックし
より柔軟にロールしていた。
ぼくは85年からずっとヒロトとマーシーの
ステージを観ているが、
「今日が一番凄いな」と思った。
その理由は明らかだ。
『ACE ROCKER』という作品のおかげだ。

クロマニヨンズは
アルバムを発表するごとに、
言葉の選び方やサウンドの選び方が
どんどん自由になっていく。

例えばブルーハーツのようだといわれようが
ハイロウズのようだといわれようが
もうどうでもいいんだよという
足かせを自分たちでつくらない身軽さが
3分間のロックンロールの物語を
より広いものに変え、深いものに変え、
よりふざけたものに変えている。
昔から自由だよ、と言われそうだが、
(そりゃそうなんだけど)
今は本当に自由だ。

一曲たった3分間、
ライブ全体でもたった90分間しかないけど、
目の前には雷鳴が鳴り響いたり、
ワンルームの部屋で巨大ガンダムが立ち上がったり
嵐の大海原をスクリュー全開で船が進んだりする。
ステージ上には「高橋ヨシオ」の後頭部と
ツノしかないけど、
頭のなかのスクリーンは
大変なことになっている。

渋谷公会堂では
「会館」という、距離を置いて
ステージを俯瞰できるシチェーションも手伝って、
その頭のなかの光景を
よりじっくり楽しめた。
ライブを楽しむ高揚感と
映画館で座ってスクリーンを眺めている冷静さが
一体化したような不思議な体験だった。
会館で観る興奮を初めて知ったような気分になった。
(もしかしたら忘れていただけかもしれない)
ということで、座間と大宮にも駆けつけたわけ。
この二箇所のライブもとても楽しめた。

『ACE ROCKER』という名盤が織りなす物語は
あともう少しで幕を閉じてしまう。
新木場コーストには、
あらゆる用事を閉めだして行くんだぜ。
ロックンロール!
(森内淳)




タイトル:ロックンロールが降ってきた日

収録アーティスト:浅井健一、大木伸夫、加藤ひさし、甲本ヒロト、セイジ、チバユウスケ、仲井戸麗市、成田大致、平田ぱんだ、古市コータロー、真島昌利、増子直純、ムッシュかまやつ、山中さわお、ROY
(五十音順・掲載順とは異なります。掲載順は成田大致さんから始まりムッシュかまやつさんまで、デビュー日が遅い順になります)

編集:秋元美乃、森内淳
表紙イラストレーション:浅井健一
装幀:三浦巌

内容:ミュージシャンがロックンロールに出会い、人生を変えていく様子や音楽に、楽器にのめり込んでいく過程を取材、モノローグ形式で掲載(Q&Aではありません)。ケータイにCMソングを一曲ダウンロードして5回聴いて消去する時代に、忘れ去られようとしている「音楽の深さ」や「尊さ」、「楽しさ」、「音楽を聴くことの素晴らしさ」を、この本に収録しました。

体裁:336ページ・2段組、ハードカバー
モノローグ形式(Q&Aではありません)
発行:Pヴァイン・ブックス
ISBN-10: 490670025X ISBN-13: 978-4906700257
価格:2,500円(税込・税抜価格2,381円)

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