2012年4月27日金曜日

写真のこと

今朝、写真家のしばたえりさんとの
ツイートのやりとりがあった。
http://togetter.com/li/294088
昨夜、秋元が書いたブログの
予算がなかったから写真を
自分たちで撮ったという部分への批判だ。
しかしそれはツイートにも書いたが
一種の方便であり、「別の意図」があった。
だけど、それをいちいち明かすのも
おかしいし、これはぼくらの手の内でもあるので
方便を貫き通すつもりだったが、
やはりそれは無理だった。

『ロックンロールが降ってきた日』の編集に入る前に
ぼくはあるバンドの写真撮影に立ち会った。
それはレコード会社の隅っこで撮るという撮影だったけれど
掲載されたものを見ると、
もの凄くかっこいい写真に仕上がっていた。
でもこのかっこいい立派な写真は
絶対にこの単行本には合わないと思った。
良い悪いではなく、あくまで合うか合わないかの問題だ。
しかしそこはとても重要な問題だ。

例えば、ブルーハーツが横浜アリーナで
プロの吹奏楽ではなく
高校生だか中学生の吹奏楽部と
共演したあの感じ。
あの感じがどうしてもほしかった。
語り部のミュージシャンに
「14歳の自分」が憑依しているのに、
写真だけフォトジェニックだったら
絶対に世界観が崩れてしまうし、
リアリティを損ねると考えた。
世の中には完璧ではあってはならないこともあるのだ。

ではボブ・グルーエンが
自由の女神の前でジョン・レノンを撮ったような
スタイルだったらどうか?
それも考えたが、あれはやはりボブとジョンの友情の賜物だ。
しかもあれとて立派な写真だ。
未熟な者が背伸びしていい写真を撮ろうとする感じとは
ちょっと違う。
プロの写真家は(当然のように)
どう転んでもプロフェッショナルなのだ。

だったら自分たちで撮ったらいいのではないか。
そう思った。
そして時間やシチュエーションが許す限り
なるべくぼくらで写真を撮った。
いっとう最後に「14歳の言葉」と
ぼくらの写真が醸し出す拙さを
三浦巌氏による
美しくポエティックなブック・デザインで包み込んだ。
自分でいうのもなんだが、
ブルーハーツの「ナビゲーター」の感じがよく出ている
素敵な本になったと思う。

だけど、そんなこといちいち説明するのは面倒なので
「何か訊かれたら、
予算の都合でということにしておこうぜ、
それはウソではないんだから」
ということにした。
そこがぼくの駄目なところだ。

しばたさんなんかしょっちゅう顔を
合わせているわけだから
なんで相談してくれないの?
って話になるのは当たり前だし、
同じく写真家の小野田麻里ちゃんだったら
タダでもやったのに、といってくれただろう。
それはマユちゃんだってそうだ。
この本をつくる直前に
彼女の写真展を観に行ってるわけだから。

そういうわけでこの文章を書くことにした。
応えるべき価値のある批判には
応えるべきだと考えた。

『ロックンロールが降ってきた日』には
ブルーハーツの「ナビゲーター」
の世界観が根底にある。
それはパンクの世界観であり
危うさであり拙さであり面白さであり
若さであり青春であり
スリーコードのロックンロールでもある。
それを感じてもらえれば嬉しい。
(森内淳)




タイトル:ロックンロールが降ってきた日

収録アーティスト:浅井健一、大木伸夫、加藤ひさし、甲本ヒロト、セイジ、チバユウスケ、仲井戸麗市、成田大致、平田ぱんだ、古市コータロー、真島昌利、増子直純、ムッシュかまやつ、山中さわお、ROY
(五十音順・掲載順とは異なります。掲載順は成田大致さんから始まりムッシュかまやつさんまで、デビュー日が遅い順になります)

編集:秋元美乃、森内淳
表紙イラストレーション:浅井健一
装幀:三浦巌

内容:ミュージシャンがロックンロールに出会い、人生を変えていく様子や音楽に、楽器にのめり込んでいく過程を取材、モノローグ形式で掲載(Q&Aではありません)。ケータイにCMソングを一曲ダウンロードして5回聴いて消去する時代に、忘れ去られようとしている「音楽の深さ」や「尊さ」、「楽しさ」、「音楽を聴くことの素晴らしさ」を、この本に収録しました。

体裁:336ページ・2段組、ハードカバー
モノローグ形式(Q&Aではありません)
発行:Pヴァイン・ブックス
ISBN-10: 490670025X ISBN-13: 978-4906700257
価格:2,500円(税込・税抜価格2,381円)

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